いまや、子育て本の大定番、「子育てハッピーアドバイス」シリーズ。
「子どもが小さいころ読んだな」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今日ご紹介する「見逃さないで!子どもの心のSOS」は子育てハッピーアドバイスの著者、明橋大二先生著、平成14年に発刊され、20万部を突破した『思春期に 頑張ってる子』の増補改訂版。
思春期につまづいている子、困っている子、傷ついている子へ向けて書かれた、ハッピーアドバイスです。
ところで皆さんは思春期という三文字から、どんな言葉を連想するでしょうか。
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浮かんだのは、そんなエネルギッシュな生き生きとしたワードでしょうか。
明橋先生は思春期を 広い意味では12~18歳、狭い意味では14~18歳の期間と定義しています。
その頃の気持ち、毎日考えていたこと、あなたは思い出せますか?
私が思春期と聞いてパッと思い出すのは、中学二年生の四月のある日です。
本当に突然、それ迄ただ無邪気に楽しかった世界がその瞬間を境に不安渦巻く空間に変化してしまったのです。
今思えばそれは、自分から見た自分、自分が感じる世界がすべてだった子ども時代から、
他者から見た自分、今いる世界の中で、自分はどんなポジションにいるのか、いう視点が加わったことによる混乱だったように思います。
思春期の子どもたちは、自分が周りからどう見えているのかをとても気にします。
友達にどう思われているのか、友達に比べて自分はどこがすぐれ、どこが劣っているのか。
それらはまさに彼らの死活問題です。
また、思春期の子どもたちにとって、友達とは一番の依存相手。
心の成長にとって、とても重要なファクターだからこそ、友達から受ける心の傷はとても深いものになってしまいます。
明橋先生は言います。
思春期の子どもたちにとって、友達から拒否されたり疎外されたりという経験は、大人になってからのそれよりもはるかに大きなダメージをもたらします。
わが子が心に傷を受けて帰ってきたときこそ、親の出番。
本当に助けを求めてきたら、しっかり受け止めてあげてほしいと。
「依存」の否定的な面ばかり強調されて久しいですが、適正量の
「甘え」「甘えられる」関係は、人の優しさや信頼感を育む大切なもの。
日本の犯罪率がとても低いのは、日本人が昔から子どもの甘えを大切にする子育てをしてきたから、
そんなレポートもあるそうです。
私がこの本を手に取ったのは、長男が登校することができなくなって間もなくの頃。
書店で何気なく手に取り、開いたページに次のようなフレーズが置かれていました。
「いじめられている人は、
ものすごくつらい中でも、
必死に耐えている、
本当にりっぱな人です。」
そして帯には
「不登校は
これ以上心が壊れるのを防ぐための
自然な正常な反応です」
と。
いじめが原因で学校に行けなくなったお子さんをお持ちの親御さんたちは、本心ではみなさん、そう思っているのではないでしょうか。
けれど、学校に行けないこと=情けなくみじめなこと
そんな世の中の風潮を否定しきれず、子どもを肯定することができない。
そして子どもをも自分をも責めてしまう…の堂々巡り。
少なくとも私にとっては、そんな苦しみを救い上げてくれるフレーズでした。
普段は 書店で下見→楽天ブックスで注文 なのですが、
この本は今すぐ帰って思う存分泣きながら読みたくて、レジに直行したのを覚えています。
そしてこの本にとても助けられた点が
傷ついた子供に今、親がすべきことが、わかりやすくはっきりと書かれていること
たとえば、
絶対にかけてはいけない言葉
思春期の子どもに、間違えなく響く言葉
不登校の段階別、関わり方のポイント
などなど。
スクールカウンセラーとして、精神科医として、実際に傷ついたお子さんたちに寄り添っておられる明橋先生だからこそのアドバイスはどれも、子どもたちの幸せを第一に考えたものばかり。
いままさに、傷ついたお子さんを目の前に途方に暮れている親御さんに、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。
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