著者は、人間の何気ない行動や言動から深層心理を追求している渋谷昌三先生。
ちょっと役立つ雑学コラム的面白さと、
「なわばり」という観点から見た動物としての人間の姿を見せてくれる、
タイトル通り、文句なしに「おもしろい」一冊でした。
読み終えると、ちょっと困ったあの人の可愛げのないところも、わんちゃんのマーキングと同じなんだと思うと愛らしく見えるかも笑
大事なのはパーソナルスペース
パーソナルスペースって、ご存知でしょうか。
アメリカの文化人類学者エドワード ホールが人と人とが心地よいと感じる距離感を、その長さによって分類したものです。
渋谷先生は、人間関係をスムーズに進めるには、この、相手の安心できる距離感を保つことが何より大切と言います。
自分がそれほど近しいと思っていない人に適正距離を超えて近づかれると不快な感情が生まれてしまうからです。
確かに、レジに並んでいる時に後ろから密着するのではないかと思うほど詰められると
「なになに⁉(恐怖)」
って思ってしまいますよね。あれです。
使い方によっては最強アイテム「甘え」
頭ごなしに否定する
大きな声で威嚇する
一方的にまくしたてる
このような行動を渋谷先生は「モズのようななわばり行動」と表現します。
モズという鳥はなわばり意識が強く、ほかの鳥がなわばり内に入ってくるとキーキー泣いて必死に追い出すからです。
けれど、なわばり行動はそのような攻撃的なものばかりではありません。
弱いふり、無力なふりをして相手を自分のために動かそうとする「甘え」も実はなわばり行動。
しかしこの甘え、甘えている本人が無意識に使っていると度を越えるものになってしまい、相手に嫌がられるケースが多々あるのですが、
意識的、戦略的に使うことができれば、最強のひとたらしアイテム。
TPOに合わせて甘えの量を調整する
相手の喜ぶ甘え方をする
うーん、なかなかのツワモノですね。
技を伝授していただきたいくらいです…
あれもこれも⁉なわばり行動色々
渋谷先生の紹介する、なわばり行動いろいろを読んでいたら、
人間の行動ほとんどがなわばり意識に基づいているもののような気がしてきました。
たとえば陰口、悪口。
これは自分の影響力を強め、相手のなわばりを侵害しようとする行為。
たとえばゴミ屋敷、または散らかったデスク。
これは「ここは自分のなわばりだぞ!」という心の中の叫び。
また、家族や兄弟の間でトラブルが起こりやすいのは、縄張りが重なり合う部分の多さゆえ。
などなど。
そして渋谷先生、この、人間が逃れられないなわばり意識がもたらすトラブルの回避法も
本書の中にキッチリ明かしています。
身近な誰かのなわばり行動にお困りの方は一読の価値ありです!
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