著者 シルヴァーノ・アゴスティ のこと
小説、詩、エッセイ、映画、評論…多彩なジャンルにおいて表現活動を続けるアゴスティ。
自らの製作会社で生まれた映画作品のほとんどは、彼自身が脚本から編集までを手掛け、世界各国で公開されています。
作家としては遅咲きですが、イタリア最高峰の文学賞ストレーガ賞に2作がノミネート。
精力的な活動を続けています。
『1日3時間しか働かない国』ってこんな本
イタリア語の原題は『キルギシアからの手紙』
ひょんなきっかけで、まさに未来型社会モデルのようなユートピア、キルギシアにやってきた主人公。
現在の社会通念から見たら、夢物語のようなキルギシアの穏やかで明るく豊かな社会のしくみを 主人公は10通の手紙に綴ります。
キルギシアの生活
タイトルの通り、キルギシアではどんな職業の人でも一日3時間以上働くことはありません。
そして残りの21時間はすべて自由に使うことができます。
政府関係者はボランティア
子どもには「勉強」ではなく「学び」を
刑務所も警察もなく、武器の墓場があります。
私が秀逸だと思ったのは
罪を犯した人が罰ではない方法で罪を償うことができるシステム。
社会から切り離し閉じ込めておくことは、本人には苦痛を、被害者には憎しみを 傍観者には無理解しか生みませんが、
キルギシアのシステムでは、犯罪を犯した人、犯した犯罪、丸ごと社会に生かせると思いました。
自分の正しいと思うことから外れたもの
自分の理解を超えたもの
そんな事柄を責め立てたり変えようと必死に働きかけるのではなく、ありのままの姿をただ静かに知ろうとする意志を持つ。
それだけで、この世界はずいぶんと優しい場所に変わるような気がします。
10年以上前に書かれた本なのに、とても新しい。
キルギシアは決して夢物語ではなく、私たち次第で実現できるものなのだということ、
私たちはもっと自由になれるのだということを思い出させてくれる一冊です。
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