<ブックレビュー> ぐるりのこと 梨木香歩

本たち


あなたはエッセイって、お好きですか?
エッセイ本のタイトルや装丁って軽やかでおしゃれなものが多くて、図書館や本屋さんで見かけるとついつい手に取ってしまいませんか?
私はそうなんです。
けれど表紙を開いて、2~3タイトルを読んで本を閉じてしまうことがしょっちゅう。
小説はとても面白い作家さんなのに、エッセイだと何故に引っかかって引き込まれないんだろうと残念に思うことが多々あります。
梨木香歩さんの「ぐるりのこと」は例のごとく図書館で見つけて借りてきたエッセイ集。
開いたのは一緒に借りてきた他の作家さんのエッセイ本を例によって途中放棄したすぐ後でした。
「これも返しちゃおうかな」
と、開く前に返してしまわなくてよかった!
私が今まで読んだことのあるエッセイ本の中で一番夢中になって読み切った一冊になりました。
こんな個人的で粗いレビューの対極にある8作品のエッセイがおさめられています。
一つ一つピッタリの色や輝きを選び抜いたモザイクを組み合わせて作られたモロッコの美しいタイルみたいなエッセイ。
それなのに美術館を訪れると画家さんたちの熱量に負けてぐったりしてしまうような疲労感を全く感じないエッセイ。
言葉というものの限界を知りつつ、その言葉の持つ力や美しさにできる限りの誠実さで向き合う職人としての姿勢。
語彙力が乏しいのが悲しいのですが、生まれ変わったら、私もこんな文章を書ける人になりたい…
すみません、あまりに感動したので、全然客観的な視点を持てません 笑
タイトルの「ぐるりのこと」とは、「自分の日常を過ごす身の回りのこと」ということ。
けれど本の中に広がる世界は、イギリスやトルコが舞台になったり、
日本ではもてはやされがちな西郷隆盛の陰の部分が照らし出されたりと広々。
とても個人的なことなのですが、ずっと前に新聞の切り抜きをとっておいた記事について書かれた作品があり、この本は手元に永久保存しなければ、と心に決めています。
梨木香歩さんの小説がお好きな方ならば、梨木作品たちの中の風景や人物が生まれてきた背景を感じることができる「ぐるりのこと」
読み終えたところで、もう一度梨木さんの小説を開いてみたくなるかもしれません。
梨木 香歩(なしき かほ、1959年は、日本の児童文学作家、絵本作家、小説家。 鹿児島県出身。同志社大学卒業。イギリスに留学し、児童文学者のベティ・モーガン・ボーエンに師事する。ガブリエル・ガルシア=マルケス『百年の孤独』を愛読書の1つにしており、新潮社より刊行されたガルシア=マルケス全小説の『百年の孤独』の解説を担当した。カヤックの愛好者でもある。時に宗教への思いが強く表れるが、特定の宗教には帰依していない。
(Wikipediaより)




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