<ブックレビュー> 橘みつ レズ風俗で働く私が、他人の人生に本気でぶつかってきた話

本たち

ノンフィクション、だよね、

と、途中巻末の著者のプロフィールを見直してしまったくらい、物語としてひきこまれました。

ごくごく日常の生活の中でも、不思議な言葉使いの名手と出会うことがあります。

こちらが投げかけた言葉を、欲しかった素敵なものに変え、心地よい、絶妙な強さで投げ返してくれる。

その心地よさときたら。

著者は間違いなくそんな才能の持ち主の一人なのでしょう。

女性の欲する”気持ちよさ”のベースって、もしかしたらそういうものなのかもしれません。

 

本書は、著者、橘みつさんが、対話型レズ風俗「Relieve」を開業するまでの紆余曲折が中心のストーリー。

大学卒業後入社した企業を、心身のバランスを崩し3か月で退社した橘さんは、アルバイトを転々とした末、レズ風俗店のキャストとなります。

橘さんのお店Relieveが目指すのは、性的なサービスのみならず、お客さんが悩みや心の内を安心して吐露できる場所作り。

ノンフィクションじゃないことを再度確かめたく、Relieveのホームページにお邪魔してみて驚きました。

公共の乗り物の中でも人目を気にせず読めるような、淫靡さのかけらもない、まるでカウンセリングルーム、あるいは美容院やマッサージのサロンのよう。

 

「他人の人生で本気でぶつかる」

限られた時間と空間と関係性の中で、限られた中でだからこそ渡せる贈り物を模索する。

からだも心も全部使って。

橘さんがお客さんとして出会った女性たちを描く文章にこもった愛情に、風俗って実は奥深くて可能性のあるお仕事なのでは、と思いつつ、裏表紙を閉じました。

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