きちんと眠ったほうがいいのはわかってる、けれど寝る前のスマホがやめられない。
睡眠不足はダイエットの大敵とは聞くけれど、眠ったからって痩せるとは思えない。
免疫力を上げるためにいろんなサプリを試したり有酸素運動を頑張ってるけど…体力がアップしている気がしない。
あなたはそんなお悩みをお持ちではありませんか?
いくら健康のためと言われても、一度身についてしまった生活習慣を手放すことって大変ですよね。
特に睡眠に関しては、生産性を感じにくいためか、ついつい後回しになりがち。
かく言う私も同じくです。
長い間寝る前のスマホがやめられず、夜中に目が覚めるとまたスマホに手が伸び…という悪習慣に引きずられるままの睡眠サイクルから抜けられずにいました。
が!
Sleep,sleep,sleepを読み終え
「眠るってこんなにすごいものなんだ!」
と、睡眠のパワフルさを気持ちに落とし込めたその日から、メタメタだった自身の睡眠習慣をきっぱり改善することができたのです。
Sleep,Sleep,Sleepは、世界の睡眠研究を知り尽くした研究者、クリスティアン・ベネディクトとベテランヘルスジャーナリスト、ミンナ・トゥーンべリエルの二人がタッグを組んで書き上げた、「今わかっている睡眠のすべて」が詰め込まれた一冊です。
この力強い帯の言葉たちに嘘はありません
きちんと寝ることによって得られる素晴らしいモノは数知れませんが、今回は特に魅力的な
ダイエット
免疫力
メンタル強化・ストレス解消
の3つの効果を軸に、Sleep,sleep,sleepをレビューいたします。
【睡眠効果その1】ダイエット効果
Sleep,sleep,sleepによると、一晩の睡眠時間が7時間未満の人の肥満リスクは、7~8時間の人に比べ50%上昇するそうです!
理由は以下の通り。
1 食事誘発性熱生産量の減少
私たちが食事をすると、栄養の一部は体熱となり放出されます。
この熱の生産量を食事誘発性熱生産量と呼びます。
睡眠不足になると翌朝、この食事誘発性熱生産量が約20%も低下してしまうのです。
理由は二つ
① 身体がよく眠れなかった夜のエネルギー消費量がいつもより多かったことを記憶し、食事から得られるエネルギーを蓄えようとするから。
② 身体がよく眠れなかった夜の後にエネルギー消費を節約するため、運動その他の沢山エネルギーを使う活動を避けようとするから。
睡眠不足から太りやすくなるのは、身体が私たちを守ろうとしているからなんですね。
2 ホルモンの変化
睡眠時間が短い(7時間未満)人は、そうでない人に比べより多くの糖分を摂るけれど、食物摂取量は少ないという研究結果が出ているそうです。
この研究結果に関係するのは次の3つのホルモンです。
グレリン
食欲を増進させるホルモン。
特に男性に大きな変化が見られます。

男性が睡眠不足になると、グレリンがたくさん生産されるんだ。
だからいつもよりたくさんエネルギーを摂りたくなるんだよ。
GLP-1
満腹であることを知らせるホルモン。
特に女性に変化が大きく見られます。

女性が睡眠不足になると、なかなか「おなかいっぱい」って感じられなくなるのよ。
GL-1の分泌が90分も遅くなるせいで、だらだら食べ続けちゃうの。
レプチン
夜の睡眠中に多く分泌される食欲を抑制するホルモンです。
睡眠不足だとレプチンは1日中低下したままです。
3 前頭葉の働きの鈍化
知性や理性を司る前頭葉の働きが鈍くなるため、欲望のまま食物を摂取する傾向が強まります。
4 筋肉量の減少
睡眠不足が長く続くと、体脂肪の割合が増え、筋肉量が減少します。
これは筋肉を作るとき、重要な働きをする「テストステロン」というホルモンの分泌が少なくなるためです。

筋肉量が減ると、代謝の量も減るんだよね。
5 腸内細菌の割合の変化
最近の研究では、肥満は腸内環境も大きくかかわっていると言われています。
スリムな人の腸内細菌を移植することによって、肥満を解消する試みが成功した話を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実際睡眠不足だと、善玉菌「バクテロイデス門」に対して悪玉菌「フィルミクテス門」の割合が高まることが多くの研究結果から報告されているそうです。
【睡眠効果その2】免疫力アップ
私たちを守ってくれる免疫システムは2種類あります。
満足な睡眠生活は、私たちの免疫力を頼もしくサポートしてくれます。
けれど睡眠がもし足りないと…
Sleep,sleep,sleepでは、睡眠不足がそれぞれのシステムに与える影響について次のように説明しています。
非特異的(自然)免疫システム
私たちに生まれつき備わっている免疫システムです。
侵入者が「からだ」に属するモノか否かをチェックし、異質なモノだと判明すると全力で戦います。
けれど睡眠不足だと、免疫システムはとても疲れやすくなるため細菌への食いつきが悪くなり、結果、感染症にかかりやすくなってしまうのです。
特異的免疫システム
非特異性免疫システムよりも的を絞った侵入者対策をしてくれる免疫システムです。
こちらは生まれつき備わったものではなく、発動されるたびに洗練されていくもの。
細菌が侵入すると、身体からの依頼を受けた樹状細胞は細菌の情報を収集し、
樹状細胞は集めた情報を細菌との先頭者T細胞に伝える、というシステム。
睡眠不足でエネルギーが消耗していると、T細胞が細菌を追いかけることができなくなってしまうのです。

病原体との接触後、最初の夜はとっても大切!
ワクチンを打った後も一番大事なことは、なによりぐっすり眠ることなのです。
腫瘍・癌
多くの人の脅威、癌。
sleep,sleep,sleepでは、睡眠は様々な方法で私たちを癌から守ってくれると述べています。
理由は3つ
① 睡眠中は発がん性物質にさらされる可能性が低いから。
② 睡眠中はナチュラルキラー細胞が活性化されるから
ナチュラルキラー細胞は体内の自警団。
細胞に癌リスクのある変化を発見すると、その細胞を破壊します。
③ 夜のホルモン、メラトニンが大活躍
睡眠中に分泌されるメラトニンは、癌をはじめとする腫瘍の予防に次のような大きな役割を果たします。
役割その1 ナチュラルキラー細胞の活動を本格化します。
役割その2 腫瘍の好む、活性酸素を強力な抗酸化作用で除去します。
役割その3 乳房組織の過剰なエストロゲンの有害な影響を除去します。
役割その4 腫瘍は栄養源の糖質を手に入れるため、血管網へ血管を伸ばしますが、メラトニンはこの新しい血管の成長を抑制してくれます。

アメリカの研究で、メラトニンがたくさん含まれた血液中のがん細胞は増殖のスピードが遅くなったということが明らかになっています。
メンタル強化・ストレス解消・認知症予防
メンタル強化・ストレス解消に効果を発揮するのは、レム睡眠と呼ばれる、夢を見るときの睡眠状態です。
レム睡眠中では、感情の中枢、偏桃体の活動が活発になり、昼間あった出来事は感情と切り離され、ありのままを理性的に再現されます(記憶の脱ドラマ化)。
眠りにつく前に悩んでいたことが、目覚めた後には「まあ、いいか」と楽観的にとらえられることが少なくないのは、睡眠中のこんな働きによるものなのです。
この働きによってある感情への執着や感情障害の発症を防ぐことができます。

精神不安に悩んでいる方は、日中日光をたっぷり浴び、
夕方からブルーライトを避けることがおすすめです!
眠れない方へ、そして体験談を少し
いかがでしょう。
少しだけでも、今日からいつもよりちゃんと寝ようかな、という気分になっていただけたとしたら、とても嬉しいです。
Sleep,Sleep,Sleepには、ご紹介した他の多くの睡眠効果に加えて、効果的にメリットを受け取る方法がたっぷりと載せられています。
そして著者らは最後に一つとても大切なメッセージを 熟睡が難しい読者へ向けて後書き綴っています。
「たとえ眠れなくても、暗闇の中でただ横になって休んでいるだけで、
身体と心にとっては恵みの時間だ」(Sleep,Sleep,Sleep あとがきより)
眠りたいのに眠れない、眠らなくちゃいけないのにと焦って過ごす時間はとてもつらいものですよね。
けれどもし眠りにすっかり落ちることができなくても、暗い部屋で静かに横たわっているだけで、一日頑張った心や体はとても癒されるのだそうです。
全く睡眠を顧みることのなかった私が、睡眠を整え始めて数週間の今、1番感じているのは、
「めんどくさい」
のワードが頭に浮かぶ回数が激減したことです。
思いついたことはササッと行動に移せるし、たとえ失敗しても次何をすべきかがすぐに頭に浮かびます。
まさに「脳がちゃんと動いてる」状態を実感しています。
今大切な人にプレゼントを選ぶとしたら、迷うことなくSleep,Sleep,Sleepにリボンをかけるだろうなあ。
イロイロいまいちだけど、何か行動する意欲も元気もないんだよね。
そんな方はとりあえず今夜はスマホの電源をオフにして、早めにお布団に入ってみませんか?
あなたが安らかな夜を過ごせますように…
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